shimotsu Blog

ヘッドレスCMSのカスタマーサポートとしてお問い合わせ対応で心掛けていること

ヘッドレスCMSのカスタマーサポートとしてお問い合わせ対応で心掛けていること

僕はいまmicroCMSというヘッドレスCMSを提供する会社でカスタマーエンジニアとして働いています。

カスタマーエンジニアの仕事については、「カスタマーエンジニアとしてmicroCMSに入社して3ヶ月が経った」という記事でも触れているとおり多岐にわたりますが、おおよそ1日の半分以上の時間をカスタマーサポートに費やしています。

microCMSのカスタマーサポートの主な仕事は、管理画面のチャット欄やお問い合わせフォームに届くサービスに関するお問い合わせへの対応です。お問い合わせ内容はさまざまで、例えば以下のようなものがあります。

  • 基本的なサービスの使い方
  • 機能の詳細についての質問
  • 実装/APIスキーマ設計の相談
  • 機能追加の要望、改善案のご相談
  • 契約/お支払い周りの相談

日々こうしたお問い合わせに対応しているのですが、入社して半年というこのタイミングで、カスタマーサポートとしての仕事において、自分なりに気を付けていること、心掛けたいと思っていることが見えてきました。今回はそちらについて書いてみます。

想像で案内を進めない

サポートの仕事に慣れてくると、「このお問い合わせはこのパターンだな」という傾向と案内のイメージがなんとなく見えてきます。お客様に詳しく内容を聞かなくとも、過去の事例から案内を推測することができるようになります。

過去の事象に照らし合わせて、想像で案内を進めてしまえば対応としては楽です。お客様に状況を確認する手間、こちらでの環境で事象を再現する手間などを省け、やり取りを一気に終わらせることができます。

ただし、そういうケースでも可能な限りお客さまに状況をヒアリングし、事象を正確にキャッチすることを心掛けています。そのように努めることで、実はお客様からの情報が間違っていることに気付いたり、その過程で新たな問題を把握することにつながったりするためです。

想像で案内を進めないということは、対応すべきお問い合わせチケットが溜まってきたときにこそ自分に言い聞かせるようにしています。

お問い合わせの背景を洞察する

microCMSはヘッドレスCMSという特殊な商材のため、実際にビジネス上で運用している最中に発生した問題についてなのか、個人的にインプットのために使っているときに気付いた問題なのか、情報収集の際に気になったことなのか、お問い合わせの状況/内容は千差万別です。

そんな中発生したお問い合わせについて、できる限りその背景を理解するように心掛けています。

PLG(プロダクト・レッド・グロース)という戦略をとっているmicroCMSでは、組織の全員が「いかにプロダクトの成長に寄与」できるか?ということを考えています。開発チームはもちろん、マーケティングやカスタマーサポートのチームも同様です。お問い合わせを受けた際は、その他チームに対し、プロダクトの改善につながるフィードバックを送ります。

(参考: microCMS 採用情報

お問い合わせの背景を正確に理解することは、このフィードバックを的確なものにすることにつながります

そのため、ときにはお問い合わせいただいた問題が解決したこととは別に、関連する課題について探ったり、そのユースケースをヒアリングしたりします。この地道な積み重ねが、真に価値のあるプロダクトへ磨き上げるための材料になるのではないかと、そう考えています。

参考: 実践PLG - すべてをプロダクト中心に考える|himara2

同じお問い合わせを受けないようにするにはどうすべきかを考える

お問い合わせは基本的に、「1つのお問い合わせ = 1つのチケット」として管理しています。

カスタマーサポートとしての仕事はそのチケットを丁寧に対応していくことなのですが、それと同時に大事なことが、「二度と同じお問い合わせを受けないようにするにはどうすべきか」を考えることだと思っています。

チケットをどれだけ消化しても、単に解消して終わりにしてしまうとそこからは何も改善されません。お問い合わせのきっかけとなった問題は残ったままなので、ユーザーの利用規模が大きくなればなるほど、同様のお問い合わせが増え、対応コストもどんどん増えていきます。

なので、お問い合わせチケットの対応が完了したあとは、それで終わりにするのではなく、なぜそのお問い合わせが生まれてしまったのかを考え、次にもう同じお問い合わせを生まないようなアクションをすることが求められます。これはとてもマッチョな発想ですが、「1度もらったお問い合わせは2度ともらわないようにする」というのが理想的な姿だと思います。

アクションの例としては、ヘルプサイトの内容を拡充したり、公式ドキュメントの内容を見直したり、そもそも仕様から再検討したり、などさまざまな手法をとることができます。microCMSの例だと、特にお問い合わせの多い複雑な機能については、管理画面内にドキュメントサイトやヘルプサイトの該当ページのリンクを置いておく、といったことをしたりもしています。

お問い合わせの対応が「受けのカスタマーサポート」とするなら、そうした「攻めのカスタマーサポート」も重要であると、いつも念頭に置いています。

その対応は「誠実か?」を自分に問いただす

microCMS社のバリューとして「誠実に振る舞おう- Behave in good faith.」というものがあります。

会社のミッションやバリューといったものは、メンバーが皆それぞれに意識しながら働いているものだと思いますが、ことカスタマーサポートの仕事においては「誠実さ」という観点は特に強く意識しています。

返信内容や言葉遣いのどれをとっても「この対応は、お客様にとって誠実といえるか?」を常に頭の片隅においてやり取りをするように意識しています。たまたま会社のバリューが「誠実に振る舞おう」ではあるものの、これはどんな業界、職種においても必要なマインドであるといってもいいと思います。

他のサービスのお問い合わせ対応から学ぶ

さまざまなお客様がmicroCMSを使ってくださっているように、我々もまた、運営に必要なさまざまサービスを利用しています。SaaS企業はある種持ちつ持たれつのような関係だとすら感じることもあります。

そのような多くのサービスを使っていると、利用者としてこちら側からそれらのサービスに対してお問い合わせをさせていただく機会もあります。カスタマーサポートを仕事にする人間にとって、これが絶好の学びの場となります。

名前は伏せますが、グローバルな規模でプロダクトを展開しているようなSaaS企業は、そのお問い合わせ対応がストレスなく、洗練され、気持ちの良い体験であることが多いです。何かに困って、なかばストレスを抱えてお問い合わせをするのに、最終的には惚れ惚れするくらい素晴らしい対応をしてもらった、と感じることさえあります。

そうした企業のカスタマーサポートを受けると、対応の方法やそのフォーマット、応答速度、顧客として自分がどう感じたか、など、1つの問い合わせで多くのことを学ぶことができます。

例えば、お問い合わせ開始時や終了時の定型的なメッセージなどは、大手の企業だとメンバー間でも統一されていたりすることがあります。そういったフォーマット的な問題は、それまでチューニングされかなり最適化されていると考えられるため、カスタマーサポート歴の浅い自分がオリジナルのものを考えるよりよほど正解に近いでしょう。

そのような学びは、巨人の肩に乗せてもらったつもりで、どんどん真似をし、取り入れています。

さいごに

ヘッドレスCMSのカスタマーサポートとして心掛けていることとしていくつかピックアップしましたが、これは現時点ですべて完璧に体現できているということではなく、自戒を込めて書いた部分も多分にあります。

またしばらくやっていくうちに新たな視点が生まれてくるかと思うので、そのときはまたブログに書いていきたいと思います。

© 2020 - 2025 shimotsu Powered by microcms Logo