森博嗣さんの『お金の減らし方』という本を読んだ。いかにお金を「殖やす」かではなく、「減らす」かということを主眼に置いている本。
昔、お金がなかった頃に森さんは「防衛費」として、毎月1割のお金を夫婦ともに好きなものに使う分として捻出していたらしい。「防衛」というと、むしろ「使わずにとっておくお金」というイメージが湧いたが、まったく逆である。また、本当に自分が欲しい物を買うことを優先し、そうでないものは極力我慢をしていたのだそう。
この考え方は、いまの自分も大いに共感するところがあった。例えば、いま可処分所得のほとんどすべてを、釣りにかかる費用、ないしはそれにまつわるアウトドア関連商品を買うことに充てている。決して額は多くないので、毎月ほぼそれだけで使えるお金はなくなってしまう。特に釣りはお金がかかる。釣具、レンタルボートを借りるお金、交通費(自分の場合はレンタカー代)などなど、めちゃくちゃお金が飛んでいく。
釣りにかけるお金を死守するために、それ以外の出費は極力抑えるようにしている。ふつうの人がたくさんお金を使うであろう交際費や服飾小物、ゲーム、外食などにはほとんどお金を使わない。釣りより優先順位が低いものにはほとんどお金を使わない。
例えば、一般的に二十代男性で1,000円カットを利用している人はそんなに多くないと思うが、僕は髪を切るときは基本1,000円カット。髪型を格好よくすることが、自分にとってそんなに価値がないからである(ちなみに、1,000円カットの理容師は腕が立つ人が多いので、ちゃんと要望を伝えるとかなり的確に切ってくれる)。そういうふうに、「自分にとってそれは価値があるかどうか」を吟味したうえでお金を使うようにしている。
いわば「必要」とされているものについても、まずはその必要性を疑ってみたり、他のもので代用したりする。そうすると、実は本当に必要なわけではなく、なんとなくそう思わされていた、みたいなものも意外に結構あったりする。
そうして防衛したお金で、本当にほしいものを買う。